こんにちは! パーチェ特許知財事務所の弁理士 田邉陽一です。
皆様、「藻類」という言葉を聞いて
どのようなイメージをもたれますでしょうか?
もしかしたら、池や熱帯魚水槽に勝手に生えてくる
なんとなく汚いイメージがあるかもしれません。
(※ 水槽の掃除を大変にしてくれる困りもの??
なお、上の写真は、私が趣味で育てている水草(=「被子植物」)です。
壁面にこびり付いて生えている「髭っぽい」のや「こびり付いている」のが、
「藻類」です。)
純粋培養したものですが、顕微鏡で見ると、こんな感じの生き物です。
左から、Chlorokybus, Klebsormidium, Closterium、という属の
微細緑藻です。
(※ これらの写真は、全て私が撮影した写真です。)
実は、微細藻類は、「グリーンエネルギー」という点で見ますと、
特に効率性の点で、注目すべき植物だと思います。
特に「バイオ燃料化」及び「バイオマス利用化」において、
炭酸ガスの同化率等の点から、
今後、エネルギー問題や食料問題解決の
一助になることが期待されます。
ところで、「藻類の培養」・・・。
藻類をフラスコ等に入れて、光を与えれば良い??
そう考えた方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし実際には、
経験のない種類や藻類株を培養するとき、
(プロトコールや実験書、研究室にノウハウにない
新しい藻類株等を培養する場合)、
かなりの試行錯誤が必要となります。
どの培地組成にするか?
メタル系微量元素の添加は?
温度は? 通気は? 光条件は?、、、コンタミしてしまった!
私も以前、緑藻遺伝子を研究していた経験があるのですが、
培養の難しさに困り果てていた経験があります。
http://www.pnas.org/content/102/7/2436.abstract
一方ですが、バイオ企業であるユーグレナ社が、
ミドリムシ(ユーグレナ)という藻類の
屋外大量培養系の技術確立で、
ミドリムシの健康食品化に成功した事例は有名なことと思います。
(※ 「ミドリムシ」は、厳密に言いますと、
真核原生生物に、真核緑藻が細胞内共生した二次共生藻類です。
この点、ミドリムシの本体(宿主?)は、
狭義の意味での緑藻や植物ではないので、
培養には独特の難しさがあったかと思われます。)
「培養系の確立」は、遺伝子編集技術やチップ技術等に比べると、
一見地味ではあると思いますが、
一つのことを突き詰めていくと、大きな成果に繋がる可能性を感じます。
・新規有用な培養技術を用いた藻類培養法
・優れた形質を有する新規藻類株
…などは特許発明の対象となります。
特許要件を満たすことで、特許権の取得が可能な場合があります。
地道な研究の一つ一つが、大きな革新に繋がる素晴らしさを感じます。
(Written by 田邉陽一)