「**を含まない」という文言を含む請求項、、

特許

こんにちは、パーチェ特許事務所の弁理士 田邉陽一です。

少し前に、「**を含まない組成物」という文言を含む特許の請求項を検討する必要があり、、「CMITを含まないことを特徴とする生物致死性組成物(平成22年(行ケ)第10245号 審決取消請求事件)」という新規性に関する無効審判の審決取消訴訟判決に関する判例を検討する機会がありました。。

この検討した判例の対象特許では、「CMIT(アレルギー誘因物質)を含まない」という構成要件の組成物が請求項に記載されているのですが、この判例の前提である審決では、『(請求項での)「CMITを含まない」は「CMITを僅かな量を含んだものを許容する」趣旨であると解釈した上で、(中略)CMITの含有量の差異が明らかにされなければ相違点ウは実質的に相違しない。』との審判官の認定がされていました。。

一方、この裁判では、両者の含有量の差異(※CMITを含む引例との差異)の立証負担が被告側にある点で審決自体の判断が失当であるとの認定をして、新規性を認容する判決がなされていました。

この判例の判示では、審決(CMITを含む組成物の引例からの新規性欠如)を否定して請求項中の「CMITを含まない」の構成要件に関してCMITを含む引例からの新規性を認定する判断が示されていましたが、、

、、それでは、検出限界以下のCMITが「極微量の混入」している組成物(※この特許の明細書の製法では精製による検出限界以下の極微量が残存する余地があるらしく、、)は、この請求項の範囲に含まれるのかという疑問が残りました。。

上記とは全く違う件ですが、「カビキラー事件」(平成9年(ワ)第938号 侵害賠償等請求事件)という判決では、「特許請求の範囲には、含有されるべき香料の量について何ら数値限定も付されていないため、その量のいかんに関わらず、本件特許発明の構成要件を充足するのが相当である」との判示が示されている例がありました。

このケースでは、極微量の混入であってもその量とは関係なく対象成分を含有していれば請求項の範囲に含まれることになりますが、、

「極微量の混入」がどの程度許容されるのかに関しては、それぞれのケースで争点になるようにも考えられました。。

判例: 平成22年(行ケ)第10245号 審決取消請求事件
    平成9年(ワ)第938号 侵害賠償等請求事件

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最近、知財・科学関係で気になった話題です!

● 特許証・登録証の再発行要件の緩和

特許(登録)証の再交付請求について | 経済産業省 特許庁

特許権や商標権が設定登録された際に発行される特許証や登録証に関して、破損や紛失等の事情に関らずに請求によってこれらの証書が再発行(※「紙」での発行)されるようになったとのことです。なお、現在、特許証や登録証の発行は「PDFファイル」でのみ発行されていますので、、特許庁から従前の通りの「紙」の特許証や登録証は発行してもらいたい場合にはこの請求が使えそうにも思いました。。

(Written by 田邉陽一)

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