欧州統一裁判所制度(UPC)、、オプトアウト手続の検討

特許

こんにちは、パーチェ特許事務所の弁理士 田邉陽一です。
欧州代理人事務所から、「欧州統一裁判所制度(UPC)」が
2023年6月1日から開始される旨の連絡が参りました。。

さて、この欧州統一裁判所制度(UPC)ですが、この制度が適用されますと、
「既存の欧州特許の各国域内特許」について、これまで「各国の裁判所」で扱われていた取消訴訟や侵害訴訟の裁判管轄が、原則的に単一の「欧州統一裁判所」にて扱われることとなるとのことです。

但し、今回の裁判管轄制度の変更にあたっては、移行期間が設定されており、
従来の各国での裁判管轄を希望する権利者には、従来の裁判管轄(各国での裁判管轄)を選択する機会(オプトアウト手続という、、)が与えられているとのこと。。

例えばですが、次のようなケースでは、今回の裁判管轄制度の変更に伴い、
「オプトアウト手続」を検討する余地があるようです。。

◆ 対象特許の特許性が低く、先行技術との関係で無効理由リスクが懸念される。(UPCで取消しとなるとセントラルアタックにより他の移行国でも権利行使できなくなるリスクがあるため。)
◆ 欧州での訴訟リスクが懸念される。(欧州での一括的な取消訴訟等の可能性が懸念される)
◆ UPC制度の今後の運用を見極めたい。
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このオプトアウト手続(裁判管轄を各国にする手続)ですが、
UPC制度開始から「少なくとも7年間(~最大14年間の可能性)」可能とされています。
ただ、現地代理人によりますと、一度裁判に入るとオプトアウト手続ができなくなるとのことです。
この点、UPC制度開始前の3ヶ月前から、前もって(サンライズ期間に)、オプトアウト手続を行うことが可能とのことです。
既存の欧州特許で各国の権利を有する方は、
UPCに対してどのように対応するか、検討する必要がありそうです。。
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最近、知財・科学関係で気になった話題です!

● イネ-いもち病菌「遺伝子対遺伝子」の戦い(京都大学)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-02-01
いもち病は、イネの最重要病害の一つ。遺伝学とゲノム解読を駆使して、いもち病の発生を抑えるイネ抵抗性遺伝子を新たに発見。2種のイネを交雑して作った様々な遺伝子組成の子孫の集団と、2種のいもち病菌を交雑して作った様々な遺伝子組成の子孫の集団を用意してゲノム解読を行い、いもち病菌のイネへの感染試験を行い、イネの遺伝子といもち病の遺伝子(遺伝子対遺伝子)の特定の組合せによって抵抗性がおこる仕組みを調べた。

● 共生藻の細胞表面から光保護機能を持つ色素細菌を発見(JST)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20230119-3/index.html
サンゴや貝の共生藻(褐虫藻)の細胞表面から光保護機能を持つ色素細菌を発見し、この細菌の存在量を操作することで褐虫藻の強光ストレス耐性を向上することに成功したとの報告。

● とっきょ vol.55 株式会社八幡ねじ(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol55/03_page1.html
「ねじ」のブランディングへの取り組みに関する記事(マンガ)。

(上記は、2023年2月時点での情報を基にした文章です。将来の制度変更等にはご留意いただけますと幸いです。)
(Written by 田邉陽一)

画像提供元: http://www.photo-ac.com/

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