こんにちは、パーチェ特許知財事務所の弁理士 田邉陽一です。
先日、NASAのプレス会見で、
火星に現在でも「液体の水」が存在している証拠を
発見したとの発表がありました。
驚くことに、
火星でも、季節によって水が液体として出現する季節がある
とのことです!
これは、宇宙好き(※注1:本来の専門はバイオ及び化学ですが…)の私でなくても、とてもドキドキするすごい発見と思います!
火星に関する話題では、
片道での火星移住者の募集とか、テラフォーミングの構想とか、
わくわくするお話を最近聞きます。
ふと、火星での実施を想定した特許もあるかしら
(※注2:夢中になっていますが、
あくまでも専門はバイオ及び化学です…。)
と、検索したところ、以下の特許権を見つけました。
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【特許番号】 特許第5662619号
【発明の名称】 現地資源活用を通じて火星における有人宇宙ミッションを維持するために有用な資材を生産するプロセス
【請求項1】
酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、窒素肥料、および可食バイオマスを、現地調達可能な資源の使用を通じて火星の土壌上で生産するプロセスであって、
酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、および窒素肥料を生産する化学物理セクションと、可食バイオマスを生産する生物セクションと、の2つのセクションを備えており、
(~~中略 セクションの説明が1頁以上続く~~)
を備えている、プロセス。
【要約】
火星における有人宇宙ミッションを維持するために有用な資材を生産するプロセス、および当該プロセスを実施する材料と装置のキットが記載されている。当該プロセスは、原料として現地調達可能な天然資源(すなわち火星の大気と表土)を用いる。当該キットは、火星の土壌に用いられる全ての材料と装置を提供することにより、本発明に係るプロセスを実現する。
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本件に係る特許権利者はイタリアの大学と研究機関で、
2014年12月に設定登録がされ、
現時点(※2015年10月)で権利は有効に維持されています。
本特許発明では、
「火星において現地調達する火星の大気や表土」を用いる態様を含む
発明のようです。
、、ここまで書いていて、ふと素朴な疑問が浮かびました。
特許第5662619号は日本の特許権ですが、
「火星」での特許発明の実施にも
日本の特許権の効力が及ぶものでしょうか??
属地主義(※特許権の効力は、原則その国の領域内で及びます。)の
観点を踏まえますと、
少なくとも現時点では否定されるように思います・・。
火星や月等の他の天体は、どこの国の領土にもならずに、
人類全体のものとして平和的に開発が行われることを願います。
今度は、「火星生命」について微生物化石でも良いので
発見されると素晴らしいですね!
(Written by 田邉陽一)
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